孝成

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会社法②

会社法上の公開会社(指名委員会等設置会社を除く。)が発行する株式に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。

 

 

 

会社は、その発行する全部の株式の内容として、株主総会の決議によってその全部を会社が取得する旨の定款の定めがある株式を発行することができるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

 

 

条文によると、株式会社は定款で定めることによって、内容の異なる2以上の種類の株式を発行することができる(会社法第108条第1項)。会社法第108条で規定しているのは、「種類株式」のことである。
そして条文によると、当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得することを内容として定めることができるとされている(会社法第108条第1項第7号)。いわゆる「全部取得条項付種類株式」のことである。
ここで注意して欲しいのは、全部取得条項付種類株式は会社法第108条を根拠にした「種類株式」であって、この株式を発行する会社は「内容の異なる2以上の種類の株式」を発行することができる会社である。つまり発行する「全部の株式」の内容として、全部取得条項を付することはできない。
したがって、「全部の株式」の内容として、全部取得条項を付すことができるとする本肢は誤り。
なお、株式会社は、その発行する「全部の」株式を、①譲渡制限株式、②取得請求権付株式、③取得条項付株式にすることができるとされている(会社法第107条参照)。
本問は会社法第107条と第108条の知識の正確な理解を問う問題である。

 

 

 

 

 

 その全部を会社が取得する旨の定款の定めがある株式を発行→全部取得条項株式

 

 

 

 

(異なる種類の株式)
第108条  株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、委員会設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。

一  剰余金の配当

二  残余財産の分配

三  株主総会において議決権を行使することができる事項

四  譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。

五  当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。

六  当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。

七  当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること❗️

八  株主総会取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社(第478条第6項に規定する清算人会設置会社をいう。以下この条において同じ。)にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの

九  当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(株式の内容についての特別の定め)
第107条  株式会社は、その発行する全部の株式の内容として次に掲げる事項を定めることができる。

一  譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。

二  当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。

三  当該株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。

 

 

 重要❗️全部の株式の内容として

 

 

 ①譲渡制限株式、②取得請求権付株式、③取得条項付株式

ジョーロをシュッシュッと

 

 

 

 

 会社は、その発行する全部の株式の内容として、株主総会において議決権を行使することができる事項について制限がある旨の定款の定めがある株式を発行することができるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

条文によると、株式会社は定款で定めることによって、内容の異なる2以上の種類の株式を発行することができ、株主総会において議決権を行使することができる事項についての内容を定めることができるとされている(会社法第108条第1項第3号)。この規定により、議決権の行使について制限のある株式を発行することができるが、肢アと同様に、これは会社法第108条に基づいた種類株式としての発行である。
したがって、「全部の」株式の内容として、議決権制限株式にできるとする本肢は誤り。
本問も、肢アと同様に会社法第107条と第108条の正確な理解を問う問題であ

 

 

 譲渡制限ならオッケー

議決制限ダメ

 

 

 

 

 

 

 

 

会社は、譲渡による当該種類の株式の取得について、会社の承認を要する旨の定款の定めがある種類株式を発行することができるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

条文によると、株式会社は定款で定めることによって、内容の異なる2以上の種類の株式を発行することができ、譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要することを内容として定めることができるとされている(会社法第108条第1項第4号)。譲渡制限種類株式のことである。
したがって、本肢は条文のままであり、正しい。
なお、譲渡制限は「全部の」株式の内容として定めることもできる点に注意(肢アの解説参照)。

 

 

 

 

 

 

 

 

会社は、株主が当該会社に対して当該株主の有する種類株式を取得することを請求することができる旨の定款の定めがある種類株式を発行することができるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

 

条文によると、株式会社は定款で定めることによって、内容の異なる2以上の種類の株式を発行することができ、当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができることを内容として定めることができるとされている(会社法第108条第1項第5号)。取得請求権付種類株式である。
したがって、本肢は条文のままであり、正しい。
なお、取得請求権は「全部の」株式の内容として定めることもできる点に注意(肢アの解説参照)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨を定款で定めることができるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

条文によると、株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨を定款で定めることができるとされている(会社法第188条第1項)。
したがって本肢は正しい。
ところで単元株式数の設定は、株主総会の特別決議を要する。定款変更であるし、議決権を行使できなくなる者がいるためである(たとえば10株で1単元とされると、9株しか持っていない者は議決権を行使できない)。

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

単元未満株主は、定款にその旨の定めがあるときに限り、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

条文によると、単元未満株主は、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができるとされている(会社法第192条1項)。

 

 

 

 

 

 

定款で定めなくとも、当然に買取請求ができるのである。

 

 

 

 

 


したがって定款で定めた場合のみ買取請求が認められるとする本肢は誤り。
ところで、本肢は「買取請求」についての知識を問う問題であるが、おそらくは「売渡請求」とのひっかけを狙った問題であろう。条文によると、株式会社は、単元未満株主が当該株式会社に対して単元未満株式売渡請求(単元未満株主が有する単元未満株式の数と併せて単元株式数となる数の株式を当該単元未満株主に売り渡すことを請求すること)ができる旨を定款で定めることができるとされている(会社法第194条1項)。売渡請求は「定款の定め」が必要なのである。整理して覚えていただきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

単元未満株主は、定款にその旨の定めがあるときに限り、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式と併せて単元株式となる数の株式を売り渡すことを請求することができるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

 
売渡請求には定款の定めが必要であるとする本肢は正しい。
ところで買取請求は定款の定めがなくとも行使できて、売渡請求は定款の定めがあって初めて行使できるが、その理由が気になる。この理由は「買取請求が株主にとっての直接の投下資本の回収になるから」である。単元未満の株式は売りに出しても売れないため(買い手がつかない)、株主にとって株式譲渡による投下資本の回収が難しい。そこで定款の定めなどなくとも、当然に単元未満株式の株主に買取請求が認められている。投下資本の回収手段の確保は会社法にとって重要であるため、定款の定めがなくとも認められるのである。

 

 

 

 

 

 ⭐︎

株式会社が単元株式数を減少し、または単元株式数についての定款の定めを廃止するときは、取締役会の決議によりこれを行うことができるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

条文によると、株式会社は~中略~取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、定款を変更して単元株式数を減少し、又は単元株式数についての定款の定めを廃止することができるとされている(会社法第195条1項)。
したがって、単元株式数の減少・廃止を取締役会の決議で出来るとする本肢は正しい。
ところで選択肢1の解説をもう一度お読みいただきたい。単元株式については「定款の定め」が必要なのであるから、単元株式数を減少したり、単元株式数についての定款の定めを廃止するときは「定款の変更」にあたり、株主総会の特別決議が必要なように思える。しかしながらそれが不要なのは、単元株式数を減少したり、単元株式数についての定款の定めを廃止することによって、議決権が復活する株主がいるためである(たとえば10株で1単元のときの9株しか有していない株主は議決権が復活する)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

株式の無償割当てをするには、その都度、割り当てる株式の数およびその効力の生ずる日を、株主総会の決議によって定めなければならないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

条文によると、次のように定められている。「株式会社は、株式無償割当てをしようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない。①株主に割り当てる株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法、②当該株式無償割当てがその効力を生ずる日③株式会社が種類株式発行会社である場合には、当該株式無償割当てを受ける株主の有する株式の種類(会社法第186条1項)」。
また、条文によると、次のようにも定められている。「会社法第186条第1項各号に掲げる事項の決定は、株主総会取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない(会社法第186条3項)」。
本肢は、上記①及び②について、株主総会の決議で定めるとしている。しかしながら、取締役会設置会社であれば、取締役会の決議によって定めるのである。
したがって、株主総会の決議を要するとしている本肢は誤り。

なお、無償割当をしても不利益を受ける株主はいないから、無償割当は株主総会の特別決議など不要である。

 

 

一部の人にあげるのではなく、全員にあげるから

有利発行にならない。

だから、株主総会の普通決議[取締役会の決議で足りる)

 

 

 

 

 

 

 

 

株券発行会社が株式の併合または分割をしようとするときは、いずれの場合であっても、併合または分割の効力が生ずる日までに、当該会社に対し当該株式に係る株券を提出しなければならない旨の公告を行い、併合または分割した株式に係る株券を新たに発行しなければならないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

 

条文によると、次のように定められている。「株券発行会社は、株式の併合をする場合には、当該行為の効力が生ずる日までに当該株券発行会社に対し、株券を提出しなければならない旨を株券提出日の1ヶ月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない(会社法第219条1項2号)」。併合によって株式数が減るのであるから、株券を一度回収する必要があるのである。
そして条文は、「株券発行会社は、株式の併合をしたときは、株式併合の効力発生日以後遅滞なく、併合した株式に係る株券を発行しなければならない」と定めている(会社法第215条2項)。
一方で、株式分割については、株式併合と異なり、株式数が減ることはない。逆に分割によって株式数は増えるのだから、株券の回収は不要で、会社法第219条1項に相当する条文はない(ちなみに、分割によって新たに増えた分は株券を発行しなければならない。会社法第215条3項参照)。
したがって、株式分割で株券回収のための公告を要するとしている本肢は誤り。