孝成

行政書士で主に補助金関係、融資、建築許可、建築更新の仕事をしてます。役に立った情報を持て余すことなく伝えます。オススメ本、対人関係、風邪対策、体の作り方、美容、英語が喋れるようになる方法、モテる方法、宅建、行政書士

民法①

被保佐人がその保佐人の同意を得なければならない行為は、法に定められている行為に限られ、家庭裁判所は、本人や保佐人等の請求があったときでも、被保佐人が法に定められている行為以外の行為をする場合にその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることはできない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

家庭裁判所は、保佐人等の請求により、被保佐人民法第13条第1項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であっても、その保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができるとされている(民法第13条第2項)

 

 

 

第13条(保佐人の同意を要する行為等)
1 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第9条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
(1)元本を領収し、又は利用すること。
(2)借財又は保証をすること。
(3)不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
(4)訴訟行為をすること。
(5)贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成15年法律第138号)第2条第1項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
(6)相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
(7)贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
(8)新築、改築、増築又は大修繕をすること。
(9)第602条に定める期間を超える賃貸借をすること。

 

 

 

 

 

後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人または被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始または補助開始の審判を取り消す必要はないが、保佐開始の審判をする場合において、本人が成年被後見人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る後見開始の審判を取り消さなければならないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない(民法第19条第1項

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本人以外の者の請求によって保佐開始の審判をするためには、本人の同意が必要であるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

本人以外の者の請求によって保佐開始の審判をする場合、本人の同意は不要である。なお、本人以外の者の請求によって補助開始の審判をする場合、本人の同意が必要である

 

 

 

 

 

 

土地の仮装譲渡において、仮装譲受人が同地上に建物を建設してその建物を他に賃貸した場合、建物賃借人において土地譲渡が虚偽表示によるものであることについて善意であるときは、土地の仮装譲渡人はその建物賃借人に対して、土地譲渡の無効を理由として建物からの退去および土地の明渡しを求めることができないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

そして別の判例によると、土地の仮装譲受人が当該土地上に建物を建築してこれを他人に賃貸した場合、当該建物賃借人は、仮装譲渡された土地については法律上の利害関係を有するものとは認められないから、民法第94条2項所定の第三者にはあたらないとされている(最判昭和57年6月8日)。土地と建物は別の不動産であるから、「建物の」賃借人は、「土地」については法律上の利害関係がない。「土地」については、あるのはせいぜい事実上の利害関係に過ぎず、第三者には当たらないとの判断である。
したがって、建物賃借人を民法第94条2項の第三者とする本肢は妥当でない。

 

 

 

 

 

 

 

 

⭐️ 

仮装の売買契約に基づく売買代金債権が他に譲渡された場合、債権の譲受人は第三者にあたらないため、譲受人は、譲受債権の発生原因が虚偽表示によるものであることについて善意であっても、買主に対して売買代金の支払を求めることができないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

発生が仮装された債権の譲受人は第三者にあたり、民法第94条第2項が適用されるとされている(大判昭和13年12月17日)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AがBの詐欺を理由として本件売買契約を取り消したが、甲土地はすでにCに転売されていた。この場合において、CがAに対して甲土地の所有権の取得を主張するためには、Cは、Bの詐欺につき知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなく、また、対抗要件を備えていなければならないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができないとされている(民法第96条3項)

 

詐欺取消しで保護される善意の第三者Cは無過失で、かつ対抗要件まで具備しなければいけないとする本肢は妥当でない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AがEの詐欺によって本件売買契約を締結した場合、この事実を取引の相手方のBが知っていたとき、または知らなかったことにつき過失があったときは、AはEの詐欺を理由として本件売買契約を取り消すことができるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

 

「第三者の詐欺」についての問題である。
条文によると、相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができるとされている(民法第96条2項)。つまり第三者の詐欺による意思表示を取り消すことができるのは、相手方が悪意のときのみであって、過失の有無に関係なく善意のときは含まない。
したがって、相手方が悪意のときのみならず、善意有過失のときも取り消すことができるとしている本肢は妥当でない。

 

 

 

 

 

重要❗️

詐欺→善意だけ。

過失で悪意に見なされることはない。

 

錯誤→重大な過失→自ら無効を主張できない。 

 

 

 

 

 

法律行為の要素に関する錯誤というためには、一般取引の通念にかかわりなく、当該表意者のみにとって、法律行為の主要部分につき錯誤がなければ当該意思表示をしなかったであろうということが認められれば足りるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

民法第95条に規定する、法律行為の要素に関する錯誤といえるためには、「因果関係」と「重要性」が要求される(大判大正7年10月3日)。
ここで、「重要性」とは、錯誤がなければ意思表示をしなかったであろうということが、通常人の基準からいっても(一般取引の観念に照らして)もっともであるほどの、重要な部分についての錯誤をいう。
したがって、本肢の「一般取引の観念にかかわりなく当該当事者のみにとって法律行為の主要部分につき錯誤がなければ当該意思表示をしなかったであろうということが認められれば足りる」という部分は妥当ではない。
なお、ここでいう「因果関係」とは、その錯誤がなければ表意者は意思表示をしなかったであろうということである。

 

 

 

 

 

 

 

 ⭐️

法律行為の相手方の誤認(人違い)の錯誤については、売買においては法律行為の要素の錯誤となるが、賃貸借や委任においては法律行為の要素の錯誤とはならないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️なる。

人違いは、現実売買においては要素の錯誤とならないが、人格的信頼関係の色彩の強い賃貸借、委任、贈与、信頼売買等では、要素の錯誤に必要な「因果関係」及び「重要性」の要件(肢ア参照)を満たしていることになるので、要素の錯誤となる(大判明治40年2月25日)。
したがって、「賃貸借や委任については法律行為の要素の錯誤とはならない」とする記述は妥当でない。 

 



①意思表示「人が法律効果の発生を意欲し、かつその旨を表示する行為」
例:申込み、解除、取消し、転貸の承諾、同意、許可、契約
②意思の通知「意思の発表だが、意思が法律効果の発生を内容としないもの」
例:催告(請求)、弁済の受領拒否
③観念の通知「一定の事実の通知で、意思の発表という要素を含まないもの」
例:債務の承認、代理権の通知、債権譲渡の通知及び承諾

 

 

 

 

 

 

覚え方❗️

 

意思表示

 

もっかいとって東京の毛

 

 

 

意思の通知は

 

再便拒否

 

 

 観念の通知

 

初代サイヤ人

 

サイヤ人に観念する。

 

 

 

 

 

 

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Aが自己の所有する甲土地をBと通謀してBに売却(仮装売買)した場合

Aの一般債権者Dは、A・B間の売買の無効を主張して、Bに対して、甲土地のAへの返還を請求することができるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

 

民法第94条1項は、「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。」と規定しているが、無効は、誰からでも主張することができるのが原則であるから(民法第120条参照)、Aの一般債権者Dは、虚偽表示の無効を主張することができる。

 

 

 

 

 

 

 

A所有の建物を売却する代理権をAから与えられたBが、自らその買主となった場合に、そのままBが移転登記を済ませてしまったときには、AB間の売買契約について、Aに効果が帰属するか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

民法第108条では「同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。」とし、すなわち自己契約と双方代理は原則できないと規定している。
Aの代理人であるBが、自らその買主となることは、自己契約にあたり、その行為は無権代理行為として扱われる。
また、たとえ登記を済ませても実体の伴わない登記は無効となるため、AB間の売買契約の効果はAに帰属しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本人所有の甲不動産を処分するための代理権を与えられているAが、Bに甲不動産を譲渡する際、Bから受け取る代金は専ら自己の借金の返済に使うという意図をもって代理人として契約をしたが、Bは取引上相当な注意をしてもAのそのような意図を知ることができなかった場合本人に効果は帰属するか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

代理権濫用がある場合、相手方が代理人の権限濫用の意図を知り、または知る事が出来た場合は、本人は当該契約につき責任を負わないが、本肢ではBは取引上相当な注意をしてもAのそのような意図を知ることができなかったので、本人にその責任は帰属する。
代理人が自己または第三者の利益をはかるため権限内の行為をしたときは、相手方が代理人の意図を知りまたは知りうべきであった場合にかぎり、民法第九三条但書の規定を類推適用して、本人はその行為についての責に任じないと解するのが相当である。」(最判昭和42年4月20日)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

請負人とAとの間で下請負契約が締結されていたので、Aは工事材料の買い入れにあたって請負人を本人とし、自己がその代理人であるとしてBと契約をした場合本人に効果は帰属するか?

 

 

 

 

 

 請負人=本人

A=代理人

 

 

 

 

 

 

→✖️

下請負契約の内容に工事材料の買い入れの代理権は通常、含まれるものではないため、無権代理であり表見代理が成立する事情も無いから本人に契約上の効果は帰属しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

代理人は本人のために法律行為を行う者であるから、代理人としての地位は、法律に基づくもののほかは必ず委任契約によらなければならないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

代理人は本人のために法律行為を行う者であるが、代理人としての地位は、法律に基づくもののほかは、委任契約、雇用契約、請負契約など多様な契約に基づく。
したがって、「必ず委任契約によらなければならない」とする記述は誤っている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

使者は、本人の完了した意思決定を相手方に伝達するのであるから、本人の真意と異なる意思を伝達した場合であってもその意思表示が無効となる余地はないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️ある。

使者の場合は、本人の意思と異なる意思を伝達した場合、つまり表示が不一致の場合は錯誤(民法第95条)の問題となると解されている(大判大正9年5月4日)。
ただ、全ての場合に錯誤を認めてしまうと、相手方保護に欠けるきらいがあるため、本人側の事情と相手方保護の必要性のバランスを考え、表見代理民法第110条)の問題とすべきだとする学説が存在する。
したがって、「無効となる余地はない」との記述は妥当ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

使者は、単に本人の完了した意思決定を相手方に伝達するにすぎないから、本人に無断で別の者を使者に選任することも認められるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

使者は、単に本人の完了した意思決定を相手方に伝達するにすぎないから、本人に無断で別の者を使者に選任することも認められる」とする記述は妥当である。

 

 

 

 

 

 

 

 

本人から投資の勧誘を行う者として雇われていたにすぎないAが、本人の代理人としてBと投資契約をし投資金を持ち逃げした場合本人に効果は帰属するか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

権限外の行為の表見代理が(民法第110条)成立するには「基本代理権の存在」が要求され、投資の勧誘のような単なる事実行為はこれに含まれないため、表見代理は成立しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時効中断後、時効中断事由が終了した時には、時効は新たに進行を開始するのではなく、時効中断時における残りの期間を経過することによって完成するか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

 

中断した時効は、その中断の事由が終了した時から、「新たに」その進行を始める。(民法第157条第1項)

 

 

 

時効の停止と区別❗️

 

時効が中断した場合には、それまでに経過した期間は法律上は無意味なものとなり。

 

時効の中断事由が終了した時から、新たに時効期間が進行を開始する。

 

時効が停止した場合には、時効の完成が一定期間猶予されるだけであり、時効の停止事由が終了しても、新たに時効期間が進行を開始することはない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

期限の定めのない債権の消滅時効は、債権者が相当の期間を定めて催告し、その期間が経過した時から進行するか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

消滅時効は、権利を行使することができる時から進行するため(民法第166条)、 期限の定めのない債権の消滅時効の起算点は

 

債権の成立又は発生の時である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 債務の履行不能による損害賠償請求権の消滅時効は、債務の履行が不能になった時から進行するとするのが判例の立場であるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

契約に基づく債務について不履行があったことによる損害賠償請求権は、本来の履行請求権の拡張ないし内容の変更であって、本来の履行請求権と法的に同一性を有すると見ることができるから、債務者の責めに帰すべき債務の履行不能によって生ずる損害賠償請求権の消滅時効

 

 

 

本来の債務の履行を請求し得る時からその進行を開始する(最判平成10年4月24日)。

 

 

 

 


なお、契約の解除による原状回復請求権は、解除によって新たに発生するものであるため、消滅時効は解除の時から進行する(最判昭和35年11月1日)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Aは、Bから事情を聴いたところ、その絵画は、ある日それまで面識のなかったCがBのもとに持ち込み買取りを求めたものであることがわかった。Aは、盗難の日から2年以内であれば、Bに対してまったく無償で、その絵画の引渡しを求めることができるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

即時取得した場合において、その占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者等は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる(民法第193条)。
もっとも、占有者が、盗品又は遺失物を、公の市場等で善意に買い受けたときは、被害者等は、占有者が支払った代価を弁償して回復できる(民法第194条)。

 

 

 


本肢は、「面識のなかったCがBのもとに持ち込み買取りを求めたものであること」から、前者(民法第193条)が適用される❗️

 

 

 

 


したがって、Aは、盗難の日から2年以内であれば、Bに対してまったく無償で、その絵画の引渡しを求めることができる。

 

 

 

 

 

 

 

Aは、Bから事情を聴いたところ、その絵画はBがオークションで落札したものであることがわかった。Aは、盗難の日から2年以内であれば、Bに対して保管に要した費用を支払って、その絵画の引渡しを求めることができるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

Bはオークションを介して購入しているため、AはBに対して、「保管に要した費用」ではなく「占有者が支払った代価」すなわち当該絵画におけるオークションでの落札額を支払わなければ引渡しを求めることはできない(民法第194条)。
したがって、「Aは、盗難の日から2年以内であれば、Bに対して保管に要した費用を支払って、その絵画の引渡しを求めることができる。」とする本肢は誤りである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A、BおよびCが甲土地を共有し、甲土地上には乙建物が存在している

Fが賃借権に基づいて甲土地上に乙建物を建てた場合において、A、BおよびCが甲土地の分割協議を行うとするときは、Fに対して分割協議を行う旨を通知しなければならず、通知をしないときは、A、BおよびCの間でなされた分割の合意は、Fに対抗することができないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

民法によると、共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができ、参加の請求があったにもかかわらず、その請求をした者を参加させないで分割をしたときは、その分割は、その請求をした者に対抗することができないとされている(民法第260条1項2項)。共有物について、権利を有する者等を保護するための規定である。
共有物を賃借し建物を所有する者は第260条1項の「共有物について権利を有する者」である。
しかしながら、その者に分割協議を行う旨を通知しなければいけない根拠が条文上になく、通知の義務はない。
したがって、通知を義務とし、また、通知を欠いた場合に、共有物について権利を有する者であるFに対抗できないとする本肢は誤り。

 

 

 

 

 

 

 

 

A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に建造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。

 

 

Cが甲土地および乙建物にかかる自己の持分をDに譲渡し、その旨の登記がなされたが、CD間の譲渡契約は錯誤により無効であった。この場合、AおよびBは、自己の持分が害されているわけではないので、単独でDに対してCD間の移転登記の抹消を求めることはできないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

不動産の共有者の1人は、~中略~、不実の持分移転登記がされている場合には、~中略~、共有不動産について全く実体上の権利を有しないのに持分移転登記を経由している者に対し、単独でその持分移転登記の抹消登記手続を請求することができる」としている(最判平成15年7月11日)。

 

 

 

 

甲土地に隣接する丙土地について、甲土地からの観望を損ねるような工作物を建造しないことを内容とする地役権が設定され、登記されていた。この場合、Aは、自己の持分については、単独で同地役権を消滅させることができるが、同地役権の全部を消滅させることはできないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

 

条文によると、土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができないとされている(民法第282条第1項)。地役権には不可分性があり、共有者の一人がその持分について、土地のための地役権を消滅させることはできないのである。

 

 

 

 

 

それは「民法は地役権に優しい」ということである。民法の条文によると、地役権はなるべく成立するように、そしてなるべく消えないように配慮がなされている。

 

 

 

 

 

具体例を挙げる。条文によると、土地の共有者の一人が時効によって地役権を取得したときは、他の共有者も、これを取得するとされており(民法第284条第1項)、なるべく成立しやすい方向であると分かる。別の条文によると、要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の中断又は停止があるときは、その中断又は停止は、他の共有者のためにも、その効力を生ずるとされており(民法第292条)

 

 

 

 

 

比較

 

 

 

 地役権者が、その権利の一部を行使しないときは、その部分のみ地役権は時効によって消滅するか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

地役権者がその権利の一部を行使しないときは、その部分のみが時効によって消滅する(民法第293条)。

 

 

 

 A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に建造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。

 

 

 Cの債務を担保するため、A、BおよびCが、各人の甲土地にかかる持分につき、Cの債権者Fのために共同抵当権を設定していたところ、抵当権が実行され、Gが全ての持分を競落した。この場合には、乙建物のために法定地上権が成立するか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

 

なぜか?

 

法定地上権の成立要件についての問題である。法定地上権の成立についての問題は、その成立要件を丸暗記し、形式的に当てはめれば、ほとんどの問題は解けてしまう。
成立要件は①抵当権設定当時に建物が存在していた、②抵当権設定当時、土地と建物が同一の所有者に帰属していた、③土地と建物の一方又は双方に抵当権が設定され、それが抵当権の実行によって、それぞれ別々の所有者に帰属することになった、以上の3つである。本肢の場合はすべてが満たされるから、法定地上権は成立する。(民法第388条)
したがって、法定地上権が成立するとする本肢は妥当である。

 

 

 

 

 

 

 

 

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だか、土地所有権全員の意思に基づくなら、

法定地上権は成立する❗️