孝成

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民法④

A・B間で建物の売買契約が成立し、Aは、Bから建物の引渡しを受け、また、移転登記も得て、近く同建物に引っ越しをしようと思っていたところ、同建物は、第三者Cの放火によって焼失してしまった

 

 

 

上記建物は、Bの責めに帰すことができない事由により焼失したので、危険負担に関し建物の滅失についてはAの負担に帰するか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

本問では、Bはすでに履行を完了させているため、結論として、Aは代金の支払いを拒むことはできないが、本肢では、「危険負担に関し」と問うているため、Aが建物代金を負担する理由は、危険負担における債権者主義(民法第534条1項)によるものなのかの判断が必要となる。
この点、

 

 

 

危険負担における債権者主義

 

契約成立から履行完了までの間において

 

誰に危険を負担させるべきかを規定したものであって、本問では、売主Bがすでに建物の引渡し、所有権移転登記という債務の履行が完了しているため、危険負担の問題が生じる余地はないということになる。 したがって、「危険負担に関し・・・Aの負担に帰する。」としている点は、誤りである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Aは甲土地についてその売主Bとの間で売買契約を締結したが、甲土地には権利等に瑕疵があった

 

 

甲土地の一部の所有権がCに属していた場合において、BがCからその所有権を取得してAに移転することができないときは、Aは、甲土地の一部の所有権がCに属していたことについて善意であるか悪意であるかにかかわりなく、契約の時から1年以内に限り、Bに対して、その不足する部分の割合に応じて代金の減額請求をすることができるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

 

売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる(民法563条第1項)。
そして、この規定による権利は、買主が善意であったときは事実を知った時から、悪意であったときは契約の時から、それぞれ1年以内に行使しなければならない(民法第564条)。
したがって、減額請求できる点は正しいが、「善意・悪意を問わず、契約の時から1年以内に」としている点が誤っている。

 

 

 

 

債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて手形または小切手を交付した場合、これによって債務消滅の効果が生じるので、それらの不渡りがあっても、債権者は、債務者に対し損害賠償を請求することはできないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

代物弁済の効力が認められたら、弁済と同一の効力を有するのだから、債務は消滅し、その後に生じた事象は代物弁済契約の効力に影響はない。
したがって、本肢は妥当である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が所有する時計を引き渡した場合、その時計に隠れた瑕疵があるときでも、債権者は、債務者に対し瑕疵担保責任を追及することはできないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

条文によると、代物弁済契約にも有償契約(売買契約等)の規定が準用される。ゆえに目的物に隠れた瑕疵がある場合には、瑕疵担保責任を追及することができる(民法第559条、民法第570条)。
したがって、代物弁済に瑕疵担保責任の規定が適用されないとする本肢は妥当でない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他人名義の預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口でその代理人と称して銀行から払戻しを受けた場合に、銀行が、そのことにつき善意であり、かつ過失がなければ、当該払戻しは、債権の準占有者への弁済として有効な弁済となるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

条文によると「債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する」とされている(民法第478条)。
では、「債権の準占有者」とは、どのような者をいうのであろうか。明文がないため、解釈が必要になる。
判例によると、債権者の代理人と称して債権を行使する者についても、民法第478条の債権の準占有者にあたるとされている(最判昭和37年8月21日)。
したがって、本肢は妥当である。

 

 

 

 

 

 

イ 他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して、定期預金契約時になされた定期預金の期限前払戻特約に基づいて払戻しを受けた場合に、銀行がそのことにつき善意であり、かつ過失がなければ、当該払戻しは、債権の準占有者への弁済として有効な弁済となるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

 

定期預金の期限前払戻特約に基づいてする払戻しは、民法第478条の「弁済」に該当するのであろうか。特約に基づく行為であるのなら、契約の合意解除の性質があるため、弁済にあたるかどうかが論点となる。弁済にあたるならば、民法第478条の適用があると考えられるため、検討したい。
これについて判例は、「期限前払戻の場合における弁済の具体的内容が契約成立時にすでに合意により確定されているのであるから、銀行のなした期限前払戻は、民法478条にいう弁済に該当し、同条の適用をうけるものと解するのが相当」としている(最判昭和41年10月4日)。
したがって、当該払戻しは、債権の準占有者への弁済として有効な弁済となるとする本肢は妥当である。

 

 

 

 

 

 

 

 

他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して銀行から定期預金を担保に融資を受けたが、弁済がなされなかったため、銀行が当該貸金債権と定期預金債権とを相殺した場合に、銀行が、上記の事実につき善意であり、かつ過失がなければ、当該相殺は、債権の準占有者への弁済の規定の類推適用により有効な相殺となるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

相殺は弁済と同様の機能があることは事実であるが、民法第478条の「弁済」と扱ってよいのであろうか。
これについて判例は、「銀行が、定期預金債権に担保の設定をうけ、または、当該債権を受働債権として相殺をする予定のもとに、新たに貸付をする場合においては、預金者を定め、その者に対し貸付をし、これによって生じた貸金債権を自働債権として定期預金債務と相殺がされるに至ったとき等は、実質的には、定期預金の期限前払戻と同視することができるから、銀行は、銀行が預金者と定めた者(表見預金者)が真実の預金者と異なるとしても、銀行として尽くすべき相当な注意を用いた以上、民法478条の類推適用があると解するのが相当」とした(最判昭和48年3月27日)。
したがって、本肢は妥当である。

 

 

 

 

 

 

 

 

⭐︎ 

債権者の被用者が債権者に無断でその印鑑を利用して受取証書を偽造して弁済を受けた場合であっても、他の事情と総合して当該被用者が債権の準占有者と認められるときには、債務者が、上記の事実につき善意であり、かつ過失がなければ、当該弁済は、債権の準占有者への弁済として有効な弁済となるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

 

条文によると「受取証書の持参人は、弁済を受領する権限があるものとみなす」とされている(民法第480条)。しかしながらこれは受取証書が本物であることを前提とした規定である。受取証書が偽造された場合にまで民法第480条を適用することはできない。
では、受取証書が偽造された場合は、民法第478条の問題として処理することはできないのであろうか。
これについて判例は、偽造された偽物の受取証書を持参する者は、民法第478条の「債権の準占有者」に当たる(大判昭和2年6月22日)として、民法第478条の問題として処理することができるとしている。
したがって、偽造された受取証書を持参する者への弁済は、債権の準占有者への弁済として有効な弁済になるとする本肢は妥当である。

 

 

 

 

 

 

既登記の建物を書面によらずに贈与した場合において、AがBにその建物を引き渡したときは、所有権移転登記が未了であっても、Aはその贈与契約を取り消すことができないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

 

民法第550条では「書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない」と規定しており、履行の終わった部分は撤回できないとしている。ここにいう「履行の終わった」について、判例は、所有権移転登記がされてなくても、不動産の引渡しがあったときは、贈与の履行は終わったものとみなされ、撤回はできないとしている(大判大正9年6月17日)。したがって、AはBとの贈与契約を取り消すことができない。

 

 

 

 

 

比較

愛人関係など

不法原因給付に基づく既登記建物の書面によらない贈与において、給付がなされたというには、引渡しのみでは足りず、所有権移転登記手続がなされていることをも要するとされている(最判昭和46年10月28日)

 

 

 

 

 

 

 ⭐︎

Bに対する定期の給付を目的とする贈与であらかじめ期間の定めがあるものは、Aが死亡しても、その期間内は効力を失う?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

 

定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う(民法第552条)。これは、期限付きであっても同様と解されている(大判大正6年11月5日)。したがって、Bに対する定期の給付を目的とする贈与であらかじめ期間の定めがあるものであっても、Aが死亡すれば、贈与の効力は失われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

X会が権利能力なき社団である場合、X会の取引上の債務については、その構成員全員に1個の債務として総有的に帰属し、X会の社団財産がその債務のための責任財産になるとともに、構成員であるA、B、CおよびDも各自が連帯して責任を負うか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

権利能力なき社団は権利能力がないのだから、権利義務の帰属主体にはなれない。では、権利能力なき社団が取引をする際に生じる債務は、誰に、どのように帰属するのであろうか。明文がないため、解釈が必要である。
これについて判例は、「権利能力なき社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、その社団の構成員全員に、一個の義務として総有的に帰属するとともに、社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し、直接には個人的債務ないし責任を負わないと解するのが相当である」としている(最判昭和48年10月9日)。プラス財産の帰属が構成員の総有なのであるから、マイナス財産も総有的に帰属するとしたのであろう。たしかに、権利能力なき社団の構成員はプラス財産について持分はなく、持分の処分ができないのに対し、社団のマイナス財産については、構成員は各自連帯して責任を負うとするのならば、なんともアンバランスな結果となってしまう。
したがって、構成員であるA、B、CおよびDも各自が連帯して責任を負うとする本肢は誤り。

 

 

 

権利能力なき社団名義 ×


権利能力なき社団の代表者」という、肩書付きの個人名義(最判昭和47年6月2日) ×


権利能力なき社団の代表者の個人名義(肩書なし)(最判昭和47年6月2日) ○


権利能力なき社団の代表者以外の者の個人名義(肩書なし)(最判平成6年5月31日) ○


総構成員の共同所有名義 ○

 

 

 

 

 

X会が民法上の組合である場合、組合員であるA、B、CおよびDは、X会の組合財産につき持分権を有するが、X会が解散して清算が行われる前に組合財産の分割を求めることはできないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

 


前段についてであるが、「組合員は組合財産につき持分権を有する」とあるが、組合の場合は構成員に組合財産が合有として帰属している。合有は潜在的には持分権があるため、前段は正しい。
次に後段についてであるが、条文によると、組合員は清算前に組合財産の分割を求めることができないとある(民法第676条2項)ため、後段も正しい。
したがって、本肢は正しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A、B、C三人がDに対して60万円の連帯債務を負っている

DがAに対して連帯の免除をした場合に、A、B、C三人の負担部分が平等であったときは、Aは、20万円の分割債務を負い、B、Cは、40万円ずつの連帯債務を負うことになるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

連帯の免除とは、債権者が連帯債務者の連帯債務を負担部分までの分割債務にすることをいい、一部の者に対して行なう相対的連帯免除と連帯債務者全員に対して行う絶対的連帯免除がある。
本肢では、DはAに対してのみに行なった

 

 

⭐️相対的連帯免除であるから、Aは、20万円の分割債務となるが、B及びCは依然として60万円ずつの連帯債務を負っていることになる。

 

 

 

 

 

 

 

配偶者のある者が未成年者を養子とする場合には、原則として配偶者と共に縁組をしなければならないが、配偶者の嫡出である子を養子とする場合には、単独で縁組をすることができるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

 

配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない(民法第795条)

 

 

 

 

 

 

 

 ⭐︎

配偶者のある者がその配偶者の未成年の嫡出子を養子にするには、配偶者とともにしなければならないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

 

配偶者のある者が未成年者を養子とするには、原則として配偶者とともにしなければならないが、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、除かれる(民法第795条)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

配偶者の直系卑属を養子とする場合、養子となる者が未成年者であれば、家庭裁判所の許可を必要とするか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

 

未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない(民法第798条)

 

 

 

 

 

 ⭐︎

配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、重婚関係を生ずるが、後婚は当然には無効となるものではなく、取り消し得るものとなるにすぎないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

重ねて婚姻することは禁止されており(民法第732条)、婚姻の取消原因となるが、後婚が当然に無効となるわけではない(民法第744条第1項)

 

 

 重婚する人の意思を尊重している!

 

 

 

 

 

A男と、B女が出産したC

 

 

Aが嫡出否認の訴えを提起する場合において、Cが幼少で意思能力を有せず、かつ、Bがすでに死亡しているときには、Cの未成年後見人がいるときであっても、家庭裁判所が選任した特別代理人を相手方とするか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

嫡出否認の訴えは、子又は親権を行う母に対して行うが、親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない(民法第775条)。
したがって、未成年後見人がいるときであっても、家庭裁判所が選任した特別代理人を相手方とすることになる。

 

 

 

 

 

 

イ 親権者である母が、その子の継父が銀行から借り入れを行うにあたり、子の所有の不動産に抵当権を設定する行為は、利益相反行為にあたるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

判例によると、「親権者である母が、その子の継父(母の夫)が銀行から借り入れを行うにあたり、子の所有の不動産に抵当権を設定する行為は、利益相反行為にあたらない」としている(最判昭和35年7月15日)。これは、借入行為も抵当権設定行為も、母はその夫たる子の継父のためにしたものであって、親権者である母自身のためになされたものではないのだから、親権者たる母と子との間の利益相反行為にはならないのである。
したがって、上記の場面で利益相反行為にあたるとする本肢は妥当でない。

 

 

 

 

 

 

 

Aは2010年10月1日に死亡したが、Aには、Dに対する遺贈以外の遺言はなく、その死亡時に妻B、長男C、長女Dおよび次男Eがいた。

 

 

Cの相続権が侵害された場合に、CがAの死亡の時から5年以内に相続回復請求権を行使しないときは、同請求権は、時効によって消滅するか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から20年を経過したときも、同様である(民法第884条)。
したがって、死亡の時から5年で相続回復請求権が時効によって消滅するわけではない。
なお、本肢では、どのような相続権の侵害があったか定かになっていないが、共同相続人の一部の者を除外して相続分の分配がなされた場合の当該除外者の侵害については、相続回復請求権の問題ではないと解されている(最大判昭和53年12月20日)。

 

 

 

 

 

 

 

 

Eが、生前Aに対して虐待をし、またはAに重大な侮辱を加えた場合には、Eは、欠格者として相続人となることができないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

 

相続人の欠格事由には、故意に被相続人等を死亡させて刑に処せられた場合、

 

詐欺又は強迫によって遺言の変更等させた場合

 

などがあるが、相続人が被相続人に対して虐待をし、又は重大な侮辱を加えることは、欠格事由に該当しない(民法第891条)。
なお、このような場合は、被相続人は当該相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる(民法第892条)。

 

 

 

 

 

 

 

Aの死亡の時から5年以内にB、C、D、Eの協議により遺産分割がなされない場合には、B、C、D、Eは、全員で家庭裁判所に対し遺産分割を申し立てなければならないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

 

共同相続人は、原則としていつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる(民法第907条1項)。
そして、遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる(民法第907条第2項)。
したがって、「死亡の時より5年以内」としている点、「共同相続人全員で」としている点が誤りである。

 

 

 

 

相続人が被相続人から贈与された金銭をいわゆる特別受益として遺留分算定の基礎となる財産の価額に加える場合には、贈与の時の金額を相続開始のときの貨幣価値に換算した価額をもって評価するべきであるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→◯

民法第1029条1項では「遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。」と定めているところ、ここに言う「贈与した財産の価額」の算定方法について判例は「相続人が被相続人から贈与された金銭をいわゆる特別受益として遺留分算定の基礎となる財産の価額に加える場合には、

 

 

贈与の時の金額を

 

 

相続開始の時の貨幣価値に換算した価額をもって評価すべきである。」(最判昭和51年3月18日) としている。

 

 

 

 

 

遺言者の財産全部についての包括遺贈に対して遺留分権利者が減殺請求権を行使した場合には、遺留分権利者に帰属する権利は、遺産分割の対象となる相続財産としての性質を有すると解されるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→✖️

「遺言者の財産全部の包括遺贈に対して遺留分権利者が減殺請求権を行使した場合に遺留分権利者に帰属する権利は、遺産分割の対象となる相続財産としての性質を有しない。」(最判平成8年1月26日)
本肢は、質問の趣旨が分かりづらい為、例を上げて解説する。
例えばAが遺言で、全財産1億円を愛人Bに遺贈した場合において、Aの妻Cとその子供Dのうち、妻Cだけが遺留分減殺請求権を行使して、愛人Bから遺留分2500万円を取り戻した場合、後に、子供Dが遺産分割協議を申し入れてきたとしても、この妻Cの取り戻した遺留分2500万円は、妻C個人の権利を行使して得た固有の財産であり、遺産分割協議の対象にはならないということである。